四天宝寺中といえばテニス部

去年も準決勝まで勝ち進んだ関西代表の強豪だ





「そういえば、蔵ノ介。明日から試合始まるやん」


全国大会前日 東京にいる俺に一本の電話がはいった


「そういえばって何やねん…ちゃんと応援せぇよ、

電話の相手は幼なじみのだった。
たぶん一番の俺の理解者だ

「あたりまえやん。蔵ノ介抜きで応援したる」
「何いうてんの?ちゃん…俺を応援しなさい」
「うそや、うそ!!蔵ノ介のことは応援するに決まっとるやん!!」




東京にいるほんの少しの間だけだったのに、今きみの声をきいてひどく安心する自分がいる

きみの笑い声がどれだけ俺に力を与えているのか、きみは知らないだろうから



恋人でもなんでもないただの幼なじみの俺らにとって、あと一歩が遠い

でもその一歩は俺から踏みだしてみようと思う





「負けたら承知せぇへんで? 蔵ノ介」


     君に勝利を捧げよう
                                 (東京みやげは愛の言葉と優勝旗で)